11万店の飲食店が閉鎖
新型コロナウィルスの感染拡大が続くアメリカで飲食店の閉鎖が相次いでいます。全米レストラン協会がまとめたところによると、2020年12月末までに全米の11万店の飲食店が閉鎖され、アメリカの飲食店全体の17%に達しています。全米レストラン協会は、今後さらに多くの飲食店が閉鎖する可能性があるとして、助成金やローンの給付などを求める嘆願書を米国議会へ送付しました。
全米レストラン協会の広報担当部長のショーン・ケネディ氏は、今後政府から何らかの援助が得られない場合、「フランチャイズ、チェーン、個人経営など業態を問わず、今後さらに50万店の飲食店が閉鎖に追い込まれる可能性がある。政府が何の援助も行わないでいる間、毎週千単位で飲食店が破綻している。速やかな援助が必要だ」と訴えています。
全米レストラン協会は、「レストラン救済法」という法案の成立を求めています。「レストラン救済法」は、業績が悪化した飲食店を救済するために「レストラン再生ファンド」を組成し、助成金やローンを提供するというものです。昨年に実施された連邦政府によるPaycheck Protection Program(給与保護プログラム)に代わる新たな救済プログラムで、飲食店の事業再生と雇用維持に寄与すると期待されています。
実際の再生には少なくとも「数年は必要」か
一方で、レストラン救済法の実効性を疑問視する向きもあります。飲食店の閉鎖は、外出禁止制限や飲食店の営業制限が課せらてたニューヨークやロサンゼルスなどの大都市に多く、現在も外出制限などが続いている状況では、飲食店に対する助成やローンの提供が、「砂に水をまく」結果になりかねないと危惧されているのです。
先月発足したバイデン政権は、2兆ドル(約210兆円)という大規模な「コロナウィルス救済パッケージプラン」の内容を固めていますが、「コロナウィルス救済パッケージプラン」に「レストラン救済法」が含まれるのか、現時点では明らかになっていません。いずれにせよ、新型コロナウィルスのパンデミックがある程度収束するまでは、アメリカの飲食店が厳しい状況に置かれ続けることは間違いないでしょう。ある関係者は、アメリカの飲食店の完全復活には、最低でも「数年は必要」としています。