事業再生に資本性ローンを利用する機運が高まっているようです。先日、筆者のクライアントさんから電話があり、メーンバンクから政策金融公庫が押している資本性ローンを使って資金繰りを改善しないかという提案を受けたと聞かされました。政策公庫の話では、借換資金の最大50%までしか出せないものの、借入額と返済期間によっては十分に使えるのではないかとのことでした。
資本性ローンとは、文字通り資本性ローンですが、劣後ローンなどがその代表格です。普通のシニアローンよりも劣後する代わりに金利は高めに設定されるケースが多いのですが、政策公庫の提案では、融資金額最大3億円で、金利3.5%、償還は10年後の一括返済でOKとのことでした。一般的な劣後ローンよりも想像以上の好条件でした。
早速シミュレーションをしてみたところ、劣後ローンに切り替えたとした場合の資金繰りが、既存借入金を15年返済でリファイナンスするケースよりも大分楽になることがわかり、悪くないという話になりました。ただし、10年後の一括償還については、「原則ロールオーバーされる」との言質を取る必要があるということも再認識しました。
そういえば、10年くらい前にストラクチャードファイナンスでメザニンローンを使うのが流行りましたが、あのころのメザニンローンは金利が相当高い一方、ストラクチャーのポジションを相応に高めれば、シニアローンの返済ピッチを若干スピードアップできるというメリットがありました。あれはあれで使い物にはなっていた感じでした。
資本性ローンを使うかどうかについてはまだ結論はでていませんが、この手の話は最近特に増えてきたように思います。コロナで経営が悪化している企業が少なくない中、50年後一括償還の資本性ローンを活用して中小企業を救おうなんていう話も政治サイドで出てきているようです。昔のメザニンローンとは利用目的が違いますが、それでも両者は同じ資本性ローンなのです。いずれにせよ、経営難にある企業を救うために使うのであれば、決して悪くない話だと思います。