ファクタリングのメリットとは?

中小企業の資金調達手段としてファクタリングの利用が進んでいます。金融機関からの借入による資金調達に対するオプションとして実際にファクタリングが利用されるシーンが広がっているのですが、企業はなぜ借入ではなくファクタリングで資金調達をするのでしょうか。ファクタリングのメリットは何でしょうか。

そもそもファクタリングとは

ファクタリング(Factoring)とは、企業が保有する売掛債権を第三者へ売却して現金化する資金調達手段です。ファクタリングの歴史は古く、古代ローマ時代の商取引に端を発します。国際交易が盛んなローマ帝国では、輸出などにより発生する売掛債権を第三者へ売却することで現金化するスキームが早くから一般化されていました。そのスキームはラテン語で「ファッチェレ」(Facere)と呼ばれ、今日使われているファクタリングという言葉の語源となりました。

ファクタリングはその後、14世紀までにイギリスやフランスなどのヨーロッパ諸国でも行われるようになり、企業の資金調達手段として一般的になりました。14世紀のロンドンには、300社以上の債権買取り業者(ファクター(Factor)またはファクタリングカンパニーと呼びます)が営業していたとされています。17世紀には新大陸アメリカにも伝わり、その後日本を含むほとんどの資本主義国家における一般的な資金調達手段として定着しました。今では、日本を含む多くの国でファクタリングが普通に行われています。

ファクタリングのメリット

では、ファクタリングのメリットにつき具体的に説明します。

■現金化のスピード

ファクタリングの最大のメリットが現金化のスピードの速さです。例えば金融機関からの借入の場合、通常は審査に相応の時間が必要になり、融資の実行までに早くても1カ月程度かかります。信用保証協会を使う場合や、担保や保証人などを設定するといった場合は、さらに時間がかかってしまいます。急に資金が必要になったという場合は、金融機関からの借入では間に合わないといったケースが多いでしょう。

一方、ファクタリングであればスピーディーな資金調達が可能です。例えばあるファクタリング業者の場合、オンライン契約によるスピード審査・スピード振込により、申込から最短翌日に資金が振り込まれます。

■信用情報

ファクタリングは売掛債権の買取りであり、融資ではありません。よって金融機関からの借入とは違い、信用情報機関への照会はなされません。ですので、自己破産や返済遅延などの事故を起こした人でも利用が可能です。

また、ファクタリングを利用しているという事実は公言しない限り金融機関に知られる可能性はほとんどありません。さらに、ファクタリングを利用しているという事実は決算書にも載りませんので、バランスシートの見た目をよくすることが出来るというメリットもあります。

■償還求償権

ファクタリングの多くには償還求償権がないのも大きなメリットです。償還求償権とは、売掛債権がデフォルト(債務不履行)した場合、ファクタリング会社が売掛債権の販売元(つまりファクタリング利用者)へ売掛債権の買戻しを求める権利です。一方、手形割引の場合、手形が決済されなかった場合に手形を買い取った金融機関に償還求償権が認められており、デフォルトした場合企業に弁済が求められます。

売掛債権がデフォルトしても、企業に弁済が求められないのは大きなメリットです。一方、ファクタリング会社の中には契約に償還求償権を設定するところもあるので注意が必要です。

■担保と保証人

担保や保証人が必要ないのもファクタリングのメリットです。ファクタリングは融資ではないので、担保や保証人が必要ないのです。金融機関からの借入の場合、最近は大分減ってきたとはいえ、多くのケースで代表者などによる保証が必要です。複数の保証人を求められた場合など、対応や手続きに相応の時間と手間がかかります。

一方で、ファクタリング会社の中には担保や保証人を求めるところもあるので注意してください。

■赤字企業や税金滞納企業でも利用できる

赤字企業や税金滞納企業でも利用できるのもファクタリングのメリットです。金融機関からの借入の場合、例えば三期連続で営業利益が赤字の企業や債務超過に陥った企業の場合、一般的に借入するのが困難になります。また、セーフティネット保証などの制度融資を使う場合、税金を滞納している企業は借入できません。

一方、ファクタリングであれば企業の業績やバランスシート、あるいは税金の滞納などに関係なく資金調達が可能です。

■個人事業主でも利用できる

個人事業主でも利用できるのもファクタリングのメリットです。最近は日本政策金融公庫などの個人事業主に対する借入のハードルが下がってきているようですが、都銀などにいきなり融資を申し込んで実行してもらうのは、カードローンなどを除いてまず無理でしょう。特に運転資金などの事業資金を融資してもらうのは極めて難しいでしょう。

一方、ファクタリングであれば個人事業主でも利用可能です。実際のところ、フリーランスなどで働く人が増えてきている昨今、個人事業主のファクタリングの利用が増えてきているようです。

まとめ

以上、ファクタリングのメリットにつき解説いたしました。ファクタリングには様々なメリットがある一方で、デメリットもあります。ファクタリングの利用を検討する際は、メリットだけでなくデメリットも併せてチェックしてください。