米ペンシルバニア州フィラデルフィアを拠点に活動中のシンガーソングライターのジョイ・アイク氏が、自分が作った音楽を売る方法をご自身のブログで紹介しています。アイク氏によると、音楽を適切に販売すればそれなりの収入が得られるそうです。アイク氏はどうやって自分の音楽を売っているのか、ポイントを学んでみましょう。
まずは自分のウェブサイトで販売
最近はiTunesやSpotifyなどの普及により、ミュージシャンとファンとを結ぶ直接的な音楽販売プラットフォームが構築されていますが、アイク氏によると、そうした音楽販売プラットフォームを利用するよりも、まずは自分のウェブサイトで音楽を販売することが重要だそうです。販売活動の自由度、特にマーケティングの自由度が確保できるというのがその最大の理由です。
アイク氏によると、ミュージシャンが自分のウェブサイトを持たないということは「論外」であり、ミュージシャンは必ずウェブサイトを持たなければならないそうです。現時点で自分のウェブサイトを持っていないというミュージシャンには、無料で使えるミュージシャン用ウェブサイトなどを利用することを勧めています。そのようなウェブサイトにはショッピングカートの機能なども提供されているそうです。
プレオーダーと割引セール
また、自分の音楽を販売するに際し、いわゆるプレオーダー(Pre-order)を提供することが有効だとアイク氏は説いています。プレオーダーとは、新しい楽曲が正式リリースされる前に受け付ける注文のことで、多くの場合、音楽そのものができる前の状態で受け付ける注文のことです。プレオーダーを提供することで、ファンに「ゲームの先にいる感覚」を感じてもらうことができ、あなたとファンとの距離を大きく縮めることができるそうです。
プレオーダーは、通常の売上に加えてエクストラの収入が得られるのみならず、ファンの間でいわゆる「バズ」(Buzz)を引き起こす効果もあるそうです。ファン同士でツイートされ、ソーシャルメディアで拡散することで話題性が高まる可能性があります。熱心なファン程拡散してくれるので、広告宣伝媒体としても有効です。
また、プレオーダーを提供する場合は、ある程度の割引価格を提供するのも手だそうです。特にクリスマスなどのホリデーシーズンなどに合わせてプレオーダーを提供する場合、例えば50%割引などの特別価格を提示すると効果的だとしています。また、価格を下げるのに躊躇するのであれば、プレオーダーをしてくれたファンに花のギフトなどをプレゼントするといったやり方もあるそうです。いずれにせよ、プレオーダーをしてくれたファンに何らかの「エクストラ」(おまけ)を付けることが効果的なのだそうです。
YouTubeの活用法
アイク氏はまた、YouTube活用のポイントについても言及しています。アイク氏によると、ミュージシャンがYouTubeでお金を稼ぐことは困難で、多くのミュージシャンはYouTubeを「名刺代わり」に使っているそうです。
YouTubeを「名刺代わり」に使うとはどういうことでしょうか。それは、YouTubeに投稿された動画のリンクから、自分のウェブサイトへトラフィックを誘導することができるという意味です。自分の作品のみならず、ライブ映像やプロモーションビデオなどの動画を可能な限りYouTubeに投稿することで、それらの動画に貼られたリンクをクリックしてくれる人の数も比例して増えてきます。YouTubeから自分のウェブサイトへトラフィックを誘導できれば、自分のウェブサイトで販売されている自分の音楽を買ってくれる人の数も相応に増えてくる可能性が生じます。
何よりもマーケティングが重要
アイク氏はさらに、音楽を売るには何よりもマーケティングが重要であると力説します。ある別のアメリカのミュージシャンも、マーケティングの重要性について「ミュージシャンが使えるリソース全体の80%をマーケティングに費やすべき」と主張していますが、アイク氏も同様の考えのようです。いくら優れた音楽を作り上げたとしても、それが世にまったく知られなければ売れることはないでしょう。
アイク氏によると、ミュージシャンのマーケティング方法ではメールマーケティングに勝るものはないそうです。ここでいうメールマーケティングとは、自分のファンのメールアドレスを集めたメーリングリストを使ったマーケティングのことですが、適切に構築されたメーリングリストであれば、FacebookやTwitterなどを使ったマーケティングの40倍程度の効果が見込めるそうです。メーリングリストを構築し、ライブの案内や新曲リリースのお知らせ、あるいは自分自身の近況などを配信することで、ファンと濃密なコミュニケーションをとることが可能になります。そして、自分のウェブサイトのショッピングカートへのリンクを貼ることで、実際の売上を獲得することもできます。メーリングリストとウェブサイトの組み合わせこそ、ミュージシャンにとって最高のマーケティングツールなのです。
どのようなビジネスを展開するにせよ、モノを作る努力と共にそれを売るための努力が要求されます。ミュージシャンといえどもその例外ではないようです。音楽を売ることについて軽く考えるのではなく、自分の音楽をどのようにマーケティングしてゆくのかを考え抜くことが求められています。「優れた音楽」をつくり、「優れたマーケティング」で販売してゆく。そして、得られた売上や利益をさらに優れた音楽づくりに投じてゆく。そのようなサイクルがまわり始まれば、ビジネスとしてもテイクオフできる可能性が高まるでしょう。