一般家庭の中で眠っている洋酒などを買い取り、他者へ転売する酒の買い取りビジネスが一般化しつつあります。酒買い取りビジネスに参入する企業が増加するとともに、個人の副業として始めるケースも増えてきているようです。酒の買い取りビジネスを始めるにはどうすればいいのか、ポイントをまとめました。
酒の買い取りビジネスとは?
酒の買い取りビジネスとは、文字通り酒を買い取って転売して儲けるビジネスです。もともとはインターネットとEコマースの普及により、ネットで酒を販売する個人や業者が増えてきたのが始まりです。そして、そうした個人や業者の中で、買い取った酒をネットで転売するビジネスを始める人が出てきたのです。言うなれば酒のネット通販業者から、買い取った酒を転売する転売業者が生まれたような形です。
酒の買い取りビジネスは通常、一般家庭の中で眠っている酒を買い取りの対象としています。今でもお歳暮などで酒が贈答品として扱われていますが、酒を贈られた人の中には酒を飲まないという人が少なくありません。そういう人の家庭の中で眠っている酒や、またはマニアが集めたレアもののウィスキーなどを買い取って他者へ転売するのです。
酒の転売先はどこの誰?
では、酒の買い取りビジネスでは、買い取った酒をどこの誰へ転売するのでしょうか。多くの業者はヤフオクなどのオークションで転売しています。酒も他の商品と同様に価格に相場があり、需要と供給の力関係で変動します。一般的な酒はそれなりの値段で売買され、レアものの酒はそれなりの高値で売買されています。
では、ヤフオクなどでは誰が酒を買っているのだろうでしょうか。筆者が見たところ、ヤフオクで酒を買っている人の7-8割は個人の酒愛好家です。特に、一般の酒店よりも安価に売られている酒を買っているのは間違いなく普通の酒消費者です。
一方、残りの2-3割はプロの業者です。プロの業者とは、オークションで酒を仕入れてさらに転売して転売益を狙う投資家の事です。最近、日本のウィスキーの評価が海外で高まっていますが、プロの投資家はヤフオクなどでレアな酒を仕入れて数年間寝かし、海外のオークションなどで再転売して大きなリターンを獲得します。最近は日本人のみならず、多くの中国人がこれを行っています。最近はこうした中国人投資家が多数オークションに参加し、日本産ウィスキーの価格を吊り上げています。
どのくらい儲かるのか?
さて、気になる酒の買い取りビジネスの儲けについてですが、商品ごとの利益率はおおよそで30-70%といったところでしょう。一般的には、安い酒の仕入率は低くて30%から40%程度で、レアな高級洋酒などの高く売れる酒の仕入率は60-70%程度といったところでしょう。トータルでは50%程度のようです。
なお、以上はあくまでも筆者が見てきた実例をベースにしていますが、酒の買い取りを行うエリアによって数字が変化することを申し上げておきます。一般的に、競争が激しい都心などの原価率は上昇基調にあり、地方はそうでもないです。また、エリアによっては買い取る酒の種類に偏りがあったりして、買い取り価格に影響を与えたりします。
買い取り価格全体では、一拠点あたり月に数十万円から100万円程度と見込んでおけばいいでしょう。そこから仕入れをマイナスし、広告費や家賃などの費用をさらにマイナスすると残りの利益となります。
酒の買い取りビジネスの始め方
では、実際に酒の買い取りビジネスを始めるにはどうすればいいでしょうか。
まず、酒の買い取りビジネスを行うには免許を取得する必要があります。正確には「通信販売酒類小売業免許」と呼ばれる免許ですが、これはインターネットなどでの酒の販売に限定された酒類販売免許です。通信販売酒類小売業免許は個人でも取得でき、取得の手続きも比較的簡単です。通常は、申請から3-6か月程度あれば取得できます。免許申請時に記載する作業場所も、自宅やアパートの一室などでも原則問題ないでしょう。
なお、酒の買い取りビジネスを免許なしで行っている人をたまに見かけますが、これは絶対におすすめできません。一説によると、税務署にはヤフオクなどで行われている酒の売買を監視する専門部署があり、毎日多くの取引をチェックしているそうです。そして、明らかに取引が「常態化」していると判断された場合、警告を発したりするそうです。また、さらに悪質だと判断された場合は、酒税法違反で摘発されるケースもあるそうです。
酒の買い取りビジネスは、免許さえ取得すればすぐに営業を開始できます。集客は、多くの場合、新聞広告やチラシのポスティングなどで宣伝して行います。インターネット広告も使われますが、特に地方などではフリーペーパーやローカル紙広告などを使うケースが多いようです。
なお、酒の買い取りビジネスは仕入れが先に立つので、買い取りの資金が事前に必要になります。目安としては、月の買い取り目標金額の3倍程度の資金があると余裕が持てるでしょう。また、事務所などの固定費はできるだけ抑え、ローコストオペレーションに徹するのが肝心です。仕入れを他者よりも高くしても問題ないくらいの利益が確保できれば、酒の買い取りビジネスを軌道に乗せられる可能性が高いでしょう。